これまで、 ・構造計算(設計の脳) ・紀州材の4寸角(最強の骨) ・田原先生(構造の番人)
についてお話ししてきました。
今日は、それらを一つにまとめる **「組み方(工法)」**についてのお話です。
実は、私たちの建てる家には、 数値や計算書には表れてこないけれど、 「地震が起きた時、絶対に家を守ってくれる」 と確信している、ある仕掛けがあります。
■2025年大阪・関西万博の「大屋根リング」
2025年に開催されました大阪・関西万博。 そのシンボルとなる、世界最大級の木造建築物 「大屋根リング」
実は、あの大規模な最新建築には、 日本古来の伝統技術である **「貫(ぬき)工法」**が採用されています。
そして、私たち中家工務店の家づくりも、 この「貫工法」を標準採用しています。

■柱と柱が「手をつなぐ」ということ
「貫(ぬき)」とは、 柱と柱の間に、水平に通す木材のことです。
柱に穴を開け、木を通して、くさびで固める。 清水寺の舞台などにも使われている伝統技術です。
これを、もっと分かりやすく イメージしてみましょう。
想像してみてください。 地震で地面が激しく揺れています。
① 「一人で」立っている状態 どんなに足腰が強くても(柱が太くても)、 予想外の揺れが来たら、 バランスを崩して倒れてしまうかもしれません。
② 「二人で手をつないで」立っている状態 隣の人とガッチリ手をつないでいたらどうでしょうか? 一人がバランスを崩しそうになっても、 もう一人が引っ張り上げて支えることができます。
この**「手をつないで支え合う状態」**を作るのが、 **「貫(ぬき)」**の役割なのです。

■計算には出ない「粘り」の強さ
正直に申し上げます。 現在の一般的な構造計算や、 耐震等級を決める壁量計算において、 この「貫」は、耐力壁としてカウントされません。
つまり、貫を入れても入れなくても、 計算上の「耐震等級」の数字は変わらないのです。
「じゃあ、手間とお金をかけて入れる意味はないのでは?」
いいえ、そんなことはありません。 計算上の数値には表れない、 **「粘り(ねばり)」**という凄まじい力が生まれるからです。
■なぜ「粘り」が生まれるのか?
「粘りがある」と言われても、 少し抽象的かもしれません。
建築の専門用語を使うと、 この粘りの正体は**「めり込み抵抗」**と言います。
地震で柱が傾こうとした時、 貫が柱にググッと食い込みます(めり込みます)。
この「木が木にめり込む力」と「摩擦」が、 自動車のブレーキのような役割を果たし、 地震のエネルギーを吸収してくれるのです。
■限界を超えた時、生死を分ける
一般的な「筋交い」や「合板」は、 「硬さ」で地震に抵抗しますが、 ある一定の限界を超えると、パキッと折れたりして 強度が**「0(ゼロ)」**になりやすい性質があります。
一方で、私たちが採用している「貫」は違います。
もし家が大きく傾くような巨大な揺れがきても、 めり込みながら抵抗し続けるため、強度が0にならず、 「70〜80の力」で耐え続けることができます。
この**「折れずに抵抗し続ける力」**こそが、 巨大地震で建物が倒壊するかどうかの 生死を分けるラインになると、私たちは考えています。
■最新の万博と、昔ながらの知恵
最先端の建築技術が集まる万博で、 この「貫工法」が採用されたこと。
それは、古臭いと思われがちな日本の伝統技術が、 「実は、地震に対して極めて合理的で強い」 と、改めて証明されたことでもあります。
計算上の数値(合格ライン)を満たすのは当たり前。 その上で、計算には表れない **「プラスαの安心」**を埋め込んでおく。
それが、中家工務店の 見えないこだわりです。
私たちの家は、柱たちが ガッチリとスクラムを組んでいます。
万博のリングと同じ技術が、 あなたの大切なマイホームを守っている。
そう思うと、少し頼もしく感じませんか?
本日も最後まで読んでくださり、 ありがとうございました。
